「え?」
何なんだろう、この状況。
「……あ」
「ん?」
椿駅のホーム付近。
目の前にあるのは、車いすのマークがはっきりとアピールされてるトイレ。
少し広いそのトイレは、あたしには縁のない場所だ。
「律、知り合い?」
もちろん、目の前にいる見覚えのある制服の男女にだって。
……あたしの記憶が正しければ、だけど。
「あ、あぁ。まぁ……」
見るからに健康そうなこの2人に、どうしてこの場所が必要なわけ?
大体、トイレって男女2人で一緒に入る場所じゃない。
「ふーん、まぁ良いや。行こうよ、律」
そう言いながら、女の子は“律”の腕を引いた。
ぴったりと絡んだその腕が視界に入って、自然に眉間が固くなる。
「お、おう。……じゃあな」