「ねぇ、佐奈?さっきから何も話さないけどどうしたの?」


家までの道のりでも、家に着いてからも何も話さないあたしに、カズが不思議そうな顔を向けた。


その表情はなかなか可愛かったけど、今のもやもやした気持ちを消し去れるほどじゃない。



何であんなに、雨宮ありすと仲がいいの?


何であんなに、楽しそうに話してたの?


何で、雨宮ありすなの……?



次々と溢れだしてくる気持ちは、どれもすっきりしないものばかりだ。


完全な、あたしの嫉妬。


嫉み。


僻み。



こんな気持ちをカズに言ったら、愛想を尽かされちゃうかな?


カズは、雨宮ありすともっと仲良くなっちゃうのかな?



「はぁ……」



眉間をかたくし続けるあたしに、カズが大きくため息をついた。