２年３組乙女事情

「僕のことは気にしなくて良いんだよ、侑ちゃん」



いきなりすぎる発言に驚く私達に向かって、侑が綺麗に微笑んだ。



「いえ、せっかくだし親子水入らずで帰って下さい。
それに、今日の目的はもう終わってるし」



確かに……。



今日の目的は、テストの息抜き。



だから、駅前のカフェで人気のパフェを食べて、可愛い雑貨屋さんを見てから帰ろうって、初めから話してた。



つまり、パフェも雑貨屋さんも満足に堪能した私達にとっては、ここで解散でも悪くない。



悪くないんだけど……――――



……居心地が悪い。


ものすごく、悪い。



「じゃあね！また学校で」



ぐるする私の気持ちなんてお構いなしに、侑が笑顔でそう告げる。



何の未練もないみたいにあっさりと背を向けて歩いていく侑を見ながら、聡さんと私はその場で少し固まった。



「じゃあ、僕らも帰ろうか」


「うん」



このままここにいても仕方がない。



人ごみに紛れて見えなくなった侑から視線を外して、私は聡さんの言葉に小さく頷いた。