「お前、下手すぎるだろ」
「仕方がないでしょ!翼と違って不器用なんだから……」
「不器用すぎる、だろ」
ソファーに座る私に背を向けて床に座ってた翼が、くるっと座り直した。
「直してやる。落とせ」
「すごく頑張ったのに……。大体、翼だって上手く出来るかわからないでしょ?」
「うるせぇ。筆ならいつも使ってるから大丈夫だろ。
大体、失敗する度にぎゃーぎゃー騒がれるからテレビに集中できねぇんだよ」
そう言いながら、翼は勝手に私の左手を取った。
1時間以上かけて作り上げた私の努力の結晶が、悲しいくらいあっさりとゼロに近づいてく。
……まぁ、1時間かけてこれしか出来ない私は、相当不器用なんだろうけどね。
「で?いきなり何でこんな色気づいたわけ?
3組15番、武藤実涼さん?」
翼が、上目遣いでにやっとしながら聞いてくる。
両手で丁寧に私の指を触りながらそんなこと言われたら……
何か、お嬢様みたいな気分。
よくあるでしょ?
執事とお嬢様、みたいな。
……まぁ、翼の性格は執事さんとは程遠いんだけどさ。
「良いでしょ。マニキュアくらい」
「変だろ、いきなり。学校にはしていけねぇのに。
夏休みにやるならまだわかるけど、今10月だぞ?阿呆すぎる」
「仕方がないでしょ!翼と違って不器用なんだから……」
「不器用すぎる、だろ」
ソファーに座る私に背を向けて床に座ってた翼が、くるっと座り直した。
「直してやる。落とせ」
「すごく頑張ったのに……。大体、翼だって上手く出来るかわからないでしょ?」
「うるせぇ。筆ならいつも使ってるから大丈夫だろ。
大体、失敗する度にぎゃーぎゃー騒がれるからテレビに集中できねぇんだよ」
そう言いながら、翼は勝手に私の左手を取った。
1時間以上かけて作り上げた私の努力の結晶が、悲しいくらいあっさりとゼロに近づいてく。
……まぁ、1時間かけてこれしか出来ない私は、相当不器用なんだろうけどね。
「で?いきなり何でこんな色気づいたわけ?
3組15番、武藤実涼さん?」
翼が、上目遣いでにやっとしながら聞いてくる。
両手で丁寧に私の指を触りながらそんなこと言われたら……
何か、お嬢様みたいな気分。
よくあるでしょ?
執事とお嬢様、みたいな。
……まぁ、翼の性格は執事さんとは程遠いんだけどさ。
「良いでしょ。マニキュアくらい」
「変だろ、いきなり。学校にはしていけねぇのに。
夏休みにやるならまだわかるけど、今10月だぞ?阿呆すぎる」