「あたしらしいって何?」
とげが刺さったみたいに険しいありすの声に、小さな笑いがこみあげてくる。
「初めてまともに話した頃、あたしのことを“救い様のないバカ”だって断言したのはどこの誰?あんたでしょ?
“気持ち悪い”言い捨てたのは?あんたでしょ?
リア女で孤立してたあたしにずかずか踏み込んできて、ここまで変えるきっかけ作ったのは誰?峯岸美海!あんたでしょ?」
両手を腰に当てながら一気にまくしたてたありすは、あたしの腕をさっきより強くつかんだ。
「あたしから言わせてもらえば、今の峯岸美海の方が100倍バカだし、気持ち悪いよ。
お互いに大事に思ってるんでしょ?今までずっと、その気持ち守って来たんでしょ?だったら最後まで、しっかり守り合ってみなさいよ!
新聞部の間抜けより何倍も頭良いんだから、方法くらいすぐに思いつくでしょ」
「でも……」
「“でも”なんて言っても何も変わんないでしょ。穂高先生とあたしが味方に付いてるのに、それでも不十分だって言うの?」
そう言うと、ありすはにやりと頬を釣り上げた。
綺麗な顔にハマりすぎてるその表情に、思わず胸がぐっと引き寄せられる。
……さっきの瑤と、同じ表情だ――――
こんなにも堂々と、正面からあたしを支えてくれる人がいるのに、あたしは何を怖がってたんだろう?
いろんなことを完璧にこなして、先生達にも信用されてきたあたしが
社会はできなくても、ずっと学年2位をキープしてきたあたしが
こんなにも強い味方のいるあたしが
他の人達に負けるわけがない。
……他でもない、大切な、瑤のことで――――
「ぼーっとしてる時間なんてないんだから。行くよ、峯岸美海」
「ってか、フルネームで呼ばないでよ。バカ」
にっこり微笑んでから立ち上がると、満足そうに笑ったありすがドアに向かって走り出した。
とげが刺さったみたいに険しいありすの声に、小さな笑いがこみあげてくる。
「初めてまともに話した頃、あたしのことを“救い様のないバカ”だって断言したのはどこの誰?あんたでしょ?
“気持ち悪い”言い捨てたのは?あんたでしょ?
リア女で孤立してたあたしにずかずか踏み込んできて、ここまで変えるきっかけ作ったのは誰?峯岸美海!あんたでしょ?」
両手を腰に当てながら一気にまくしたてたありすは、あたしの腕をさっきより強くつかんだ。
「あたしから言わせてもらえば、今の峯岸美海の方が100倍バカだし、気持ち悪いよ。
お互いに大事に思ってるんでしょ?今までずっと、その気持ち守って来たんでしょ?だったら最後まで、しっかり守り合ってみなさいよ!
新聞部の間抜けより何倍も頭良いんだから、方法くらいすぐに思いつくでしょ」
「でも……」
「“でも”なんて言っても何も変わんないでしょ。穂高先生とあたしが味方に付いてるのに、それでも不十分だって言うの?」
そう言うと、ありすはにやりと頬を釣り上げた。
綺麗な顔にハマりすぎてるその表情に、思わず胸がぐっと引き寄せられる。
……さっきの瑤と、同じ表情だ――――
こんなにも堂々と、正面からあたしを支えてくれる人がいるのに、あたしは何を怖がってたんだろう?
いろんなことを完璧にこなして、先生達にも信用されてきたあたしが
社会はできなくても、ずっと学年2位をキープしてきたあたしが
こんなにも強い味方のいるあたしが
他の人達に負けるわけがない。
……他でもない、大切な、瑤のことで――――
「ぼーっとしてる時間なんてないんだから。行くよ、峯岸美海」
「ってか、フルネームで呼ばないでよ。バカ」
にっこり微笑んでから立ち上がると、満足そうに笑ったありすがドアに向かって走り出した。


