2年3組乙女事情


「美海!」



どのくらいぼーっとしてたんだろう?


ばんっと開けられたドアの音で、あたしは自分の顔を動かした。



それまで何をしてたのかはよくわからない。


気付いたら、あたしは瑤のイスに座っていたみたいだった。



「美海!こんなとこで何やってんの!?ほらっ、とりあえず立って!」



ずかずかと部屋に入って来たありすが、無理矢理あたしの腕を引っ張る。


それに合わせて、あたしはふらふらと立ち上がった。



「何?」


「何じゃない。穂高先生が教室に来て、美海を連れて職員室に向かうように言われたの。
何があったかはよくわからないけど、とにかく行くよ」


「行ってどうするの?」


「どうするって?」



行って、どうにかなるものじゃない。



ありすの話を聞く限り、瑤がこの部屋を出てから時間はそんなに経ってないんだと思う。



でも、状況は確実に良くない。



「新聞部の子に、ここで瑤と話してるのを聞かれたの。
追加課題のことでここに来てたんだけど、あたし、普通に瑤と言い争いみたいになっちゃって……。
でも、あたし達本当に、付き合ってるわけじゃないから。確かにあたしは瑤が好きだけど、でも……」



上手くバランスが取れなくて、思わずイスに倒れ込んだ。



こんな風に弱音を吐いたことなんて、一度もない。


初めて見た自分の一面が怖くて、どんどん体に変な力が入る。



「ねぇ、今の美海、全然美海らしくないよ」