2年3組乙女事情

「当たり前の中でどんだけ馬鹿なことをして、どんだけ楽しめるかが大事なんだよ。
馬鹿なことをすればするほど、人とは違った経験ができる。
これ、何を語る上でも、する上でも貴重だぞ」



淡々と話す瑤を、思いっきり睨みつける。



今はこんな話をしてる場合じゃないのに……。


こんなにもあからさまな子ども扱いも、いい加減な対応も初めてで、どこからか腹が立ってくる。



「じゃあ、このまま変に噂が広がっても、馬鹿だったって面白がれるの?
仕事も何もかも、切り捨てられるの?」


「そうは言ってねぇだろ。だから……」



瑤が続きを話そうとした時、廊下をばたばたと走っていく音が聞こえた。



遠くから聞こえてきた音じゃない。


この部屋のドアの所から始まった足音だ。



一体、誰が? でも……



「まさか、気付いて……?」


「あぁ」


「じゃあ、どうして!」



思わず瑤の腕をつかむ。



あんな会話を聞かれたら、どうしようもないじゃない!



顔を歪めるあたしを見て、瑤は楽しそうに片方の頬を上げた。



「噂を消す丁度良い機会だろ。見てろよ、馬鹿の真髄をさ」


「ちょっとどういう……!?」


「今のはどうせ、新聞部辺りだろ。少し情報をまとめた後……今からなら約5分後に職員室ってとこだな。
美海も、動けるようになったら職員室に顔出せ。後で文句言われても困る」



わけがわからなくて動けないあたしからそっと腕を抜き取ると、瑤はパソコンを持ってドアに向かった。