やっぱり、社会に規則性なんてない。
ありす、どんな頭してるのよ。
あたしが言えることじゃないかもしれないけど、人間みんな、好き勝手に生きすぎだ。
政治とか経済とかが引っ掻き回されるせいで、あたし達の勉強が辛くなるなんて……その辺りも少し考えてほしい。
返ってきた用紙の点数とその横につけられた小さな星のマークをちらっと見てから、あたしはそれをぴったり半分に折りたたんだ。
目の前でテストを配り続けるアイツは、いつもの如く涼しい顔をしてる。
大体、質問してもまともに取り合ってくれないアイツだって悪いんだから!
教師失格じゃないの?
返ってきたテストは、社会だけやっぱり低くて……
あたしは“穂高先生の”追加課題決定。
「まぁまぁ」なんて言っておきながら、いつも通りすぎるじゃん。あたし。
自分のふがいなさに思わず溜息を落としたところで、最後に答案用紙を渡された和田さんが席に着く音がした。
それを最後まで聞いてから、しっかりとアイツの方を見る。
ここで変に視線を逸らしたり、気の抜けた表情を見せたりしたらあたしの負けだ。
噂なんかにも、最悪すぎる自分の点数にも、振り回されちゃいけない。
そんなあたしの考えが筒抜けだったのか、涼しい表情を作ろうとするあたしを見て、瑤が小さく微笑んでから口を開いた。


