眉間にしわを寄せた反動かな。
ありすの耳元で、ピンクのリボンが揺れる。
……らしくない勉強会の理由は、コレか。
「どのくらいのものなのかはよくわかってないけど……一応知ってる」
「そう」
「本当、厄介な噂。あたしが築いてきた信用崩れたら、どうしてくれるんだって感じ」
シャーペンを投げ出しながら、ふざけたみたいにそう言った。
瑤との噂が、生徒の間だけの噂になってるくらいならまだ良い。
問題は、それが他の先生達の耳に入ってからだ。
“女子校”ってだけあって、リア女はこういう噂に敏感だと思う。
「ま、あたしはとりあえず、何があっても美海の味方になるから。……でも、気を付けて」
「ありがと。助かる」
そう小さく笑うと、ありすもにっこり微笑んだ。
「とりあえず、問題は社会のテストだね。その点数カバーするのに、どんだけの科目犠牲にしてるんだか」
「それは……全部ね」
「勿体ない」
……可愛くないありすの登場、か。
何か言われる前に、真面目に勉強した方が良い気がする。
ありすからそっと視線を外して、あたしはまた、シャーペンを握った。


