2年3組乙女事情


眉間にしわを寄せた反動かな。


ありすの耳元で、ピンクのリボンが揺れる。



……らしくない勉強会の理由は、コレか。



「どのくらいのものなのかはよくわかってないけど……一応知ってる」


「そう」


「本当、厄介な噂。あたしが築いてきた信用崩れたら、どうしてくれるんだって感じ」



シャーペンを投げ出しながら、ふざけたみたいにそう言った。



瑤との噂が、生徒の間だけの噂になってるくらいならまだ良い。


問題は、それが他の先生達の耳に入ってからだ。



“女子校”ってだけあって、リア女はこういう噂に敏感だと思う。



「ま、あたしはとりあえず、何があっても美海の味方になるから。……でも、気を付けて」


「ありがと。助かる」



そう小さく笑うと、ありすもにっこり微笑んだ。



「とりあえず、問題は社会のテストだね。その点数カバーするのに、どんだけの科目犠牲にしてるんだか」


「それは……全部ね」


「勿体ない」



……可愛くないありすの登場、か。


何か言われる前に、真面目に勉強した方が良い気がする。



ありすからそっと視線を外して、あたしはまた、シャーペンを握った。