2年3組乙女事情

「どこが。正統派の純情派だろ」



もともと彼氏なんていなかったあたし。


いつの間にか彼女の影がなくなってた瑤。



お互いに馬鹿じゃない。


だから、お互いに特別な気持ちが生まれてることは、何となくわかってる。



でもお互いにそれを伝えないのは、お互いの立場を考えて線を引いてるからだってこともよくわかってる。



それでも完全に気持ちを断ち切ることができなくて……


今日みたいに気を紛らわしてるお互いがいることも、よくわかってる。



……お互いに、どうしようもないくらいに馬鹿なのかもしれない。



「まぁね。
そもそも告白もしてなければ、付き合ってるわけでもないし。
顔近付けられたことはあるけど、そのままおでこはじかれたり、頬つねられたりするだけだしね。
……修学旅行の時のビキニ選んだのも瑤だけど」



何気なく修学旅行の話を持ち出したあたしに、いきなりパソコンの画面を見せてきた瑤を思い出す。



真っ黒のビキニって……


あたしのことをただの“委員長”だと思ってる人達からの視線は、本当に強かった。



「そうそう。お前、生殺しの天才」


「生々しいこと言わないで。全部そっちのせいでしょ!」



そう言い捨てて、あたしは瑤に背を向けた。


瑤も、それをもう引き止める気配はない。



そろそろ“タイムリミット”だってことも、お互いによくわかってる。



「テスト、頑張れよ」



軽く投げられた言葉を背中で受け止めながら、あたしはドアを閉めた。