……会っちゃった!?
後ろから声をかけられて、ぱっと振り返る。
「あ、舞花。1人?」
「あぁ、今日は家で用事があるから、お迎えの車が来てるのよ。だから、芽依は別。
先生に用事があるみたいだし」
「そうなんだ」
いつも芽依と一緒に帰ってるから、何となくそんな質問を向けてみたけど……
車でお迎えなんて、さすがお嬢様って感じがする。
舞花の家……つまり、藤堂家とウチは、割と近い。
小さい頃から“近くに大きい家がある”ってことは知ってたから、そこの家の娘と高校で会った時はびっくりした。
「清夏って、ウチの近くだったわよね?もし良かったら、一緒に車に乗って行かない?」
「え?」
「あたしも、話し相手がいた方が楽しいし。運転手さん、無口なのよ」
何か、次元の違う話をされてる気分だ……。
でも車に乗せてもらえれば、電車の中で知らない人に髪型と制服のアンバランスさを笑われることもないし、良いかもしれない。
「じゃあ、申し訳ないんだけど、お言葉に甘えても良いかな?
舞花の家の近くで降ろしてくれて構わないから」


