「清夏……それはまた思い切ったね」


「うん。不可抗力だけどね」


「あぁー……いつものあれね?」


「うん」



朝一番。


教室に入ってすぐに、1年の時から仲の良い七瀬[ななせ]に声をかけられた。



割と毎日見られる光景だけど、今日の場合はその会話の内容がちょっと違う。



「美容院、そろそろ固定のところ見つけたら?」


「うーん……」



頭の上で溜息を落とす七瀬に続いて、あたしも息を吐き出した。


これ、溜息でウエーブできちゃうよ……。



なかなかお気に入りの美容院が見つからなくて、いつもネットの評判とか、クーポンとかで見つけた美容院を転々としてるあたし。



昨日も、たまたまクーポンのあった椿駅前の美容院に行ったの。



髪を切ってくれたのは、ちょっと若そうな男の人。



何となく長い髪に飽きてきたあたしは、ボブくらいにできないかなって思って美容院に行ったんだけど……



何を間違ったのか、最初のカウンセリング後の用紙には髪を“バッサリ”切るって書いてあって……



気が付いたら予想以上に短くなってたあたしの髪は、完全にリア女生の中でも“浮いていた”。