「今から配るのは、進路調査のプリントです。第3希望まで記入して、来週提出するように」



あたしは、リア女の2年3組11番、畑本亜希帆。



泣く泣く夏休みに別れを告げて

サマースクール以来着てなかったピンクのスカートをはいたのは今朝のこと。



それなのに、いきなり進路って……。



始まった途端にこんなこと言われても、あたしはそこまでいろいろ考えてないよぉ。



1番前に座るあたしは、素直におばさん担任からプリントを貰って後ろに座る祐貴ちゃんに渡した。



すっと伸びてきた手は、こんがり日に焼けてて、さすが運動部って感じ!


……まぁ、何部だったかは忘れちゃったけどさ。



「では、今日はここまで。日直さん、ご挨拶を」



きびきびとそう言ったおばさんに合わせて、あたし達は立ち上がって頭を下げた。


満足そうにその様子を見てから、おばさんが時代遅れの花柄スカートを揺らして出て行く。



それを何となく見つめてから、あたしは貰った紙に視線を落とした。



自分の名前。


それに、大学名と学部3つずつ。



これを書くだけにB5の紙使っちゃうなんて、ちょっともったいないって思わないのかなぁ……?