「くるみちゃん、朝ご飯食べなさい」


「いらない。暑くて食欲ないの」



サマースクールもお休みの土曜日。


いつもみたいに朝食を進めてくるお母さんに、いつもみたいに断りの返事をした。



「またそんなこと言って!食事を抜くなんて絶対に体に悪いんだから。ほら、早く座って!」



そんなくるみにお母さんがこう返すのも、いつものこと。



少しでもダイエットになるかなって、いつも抵抗してみるんだけど……


お母さんは、食事を抜くことだけは許してくれない。



それは、朝だけじゃなくて昼も夜も同じこと。



子どもがくるみしかいないこのお家で、専業主婦のお母さんが時間を持て余すようになったのは何年か前。


それから、妙に食事に気を使うようになって……。


食事を抜くことどころか、残すことも許してもらえなくなった。



だって、くるみが「もう食べれない」って言うと、泣き出しそうな顔で見てくるんだもん!


そうするとお父さんだって、残すくるみが悪い、みたいな視線を送ってくるし……。



料理に凝るようになってから、作る量も、盛り付ける量も確実に増えたから、くるみとしては辛い以外の何物でもない。



おいしいご飯が食べられるのは嬉しいし、すごく感謝してるんだけどね。



でも、その頃からだもん。



くるみの体重が増えてきたのも……――――