「1450円になります」


「はい」



これ、やっぱり使いにくいかもしれない……。



ボクは、買ったばかりのお財布の狭い小銭入れに手を入れながら、顔をしかめた。



少し赤みがかった茶色の合皮に、アンティークっぽい金色の蝶々の飾り。


それが可愛くて、思わず買っちゃったんだけど……



いつものボクの雰囲気と違うって、くるみに爆笑されたんだよね。



やっとの思いで探し当てた50円玉を店員さんに渡してから、ボクはカゴを持ち上げた。



空いてるスペースを探して、おばさん達と一緒に、買ったものをエコバックに詰める。



お母さんの帰りが遅いウチでは、夕飯の買い物を頼まれることは割とよくあることだった。



無題に目立つリア女の制服に集まる視線が痛くて、初めの頃は少し恥ずかしかったけど……


慣れた今なら、もう何とも思わない。



ピンクのチェックのスカートは可愛い。

でも、ボクにはやっぱり、不釣り合いな気がする。



……あ、新しいお財布にはぴったりだ。



ぼーっとそんなことを考えながら、ボクは空になったカゴを持ち上げた。



指定されてる場所に、かしゃっとそれを放り込む。



「あ……卵忘れた」