「なんでよ!一生一緒にいようって、あなた言ったわよね!?」
 

「けれど、もう無理だ。」


「なんでよ?」


「妻にばれた。」


「え…?」


「探偵を雇ったらしい。もう花音のこともお前のことも全部ばれてる。」


「…だから…何?ばれたって、いいじゃない!私たちは私たちよ?」


「そういう訳にはいかないだろ。こっちは、山下グループがかかってるんだぞ!?
 山下グループのトップが不倫してた、なんて世間にばれたらどうするんだ!?」


「そういうことを承知であたしと付き合ってたんじゃないの?」


「んなわけないだろう!俺だってまさかばれるなんて思っていなかったし」


「じゃあ、これからどうするの?」


「もちろん別れるに決まっているだろう。」


「違うわよ。そうじゃなくて、花音はどうするのよ!」


「君が引き取るんじゃないのか?」


「はぁ?ちょっと無責任すぎない?あなただって、父親でしょう?」


「産んだのは君だろう?それに、俺には妻も子供もいる。
 たとえ引き取ったとしても、妻が受け入れないに決まっている。」


♪プルルルル  プルルルル


「はい、山下。あぁ、分かった。今から行く」


ピッ


「ちょっと、待ってよ。あたしと花音はどうすればいいのよ?
 それに遺産だって、2人で分けるって話だったじゃない!」

「今は遺産どころの話じゃないだろう。
 あぁ、俺用事があるんだ。じゃあ、元気で。」

「ちょっと!!待ってよ!和彦!!」





「和彦…」