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「……暇」




惠瑠の虚しい声が部屋に響く。





木陰でせっかくお昼寝をしていたのに、沖田と(向かう途中で原田に会ったため惠瑠が逃げないように捕まえてもらうために)原田がやってきて首根っこを捕まれて、まるで猫状態のまま確保された。




惠瑠の機嫌は最高潮に悪い。







「暇って……あのなあ、俺たちの身にもなってみろ。お前がいなくなるから近藤さんが心配して稽古を中断にしてまでお前を探してんだぞ。つーか、稽古に出ろ。」



「面倒くさい」



「おい、こら」



「正直なんです」



「はあ……」







惠瑠の首根っこを掴んで部屋に連れてきた原田はそのまま自分も入り、逃げないように監視してろ、と土方に指示されたため、胡座を掻いて惠瑠を監視していた。


しかし、このじゃじゃ馬には本当に振り回されっぱなしだ。





初めこそ嫌がっていた土方さえも最近では完全に惠瑠の保護者だ。まあ、元々面倒見が良いから惠瑠ぐらいがちょうどいいのだろう。



原田は深いため息をつき、畳に寝ころがっている惠瑠に視線を向ける。






色白に長い睫毛、少し大人っぽい目に桜色の唇。


どこから見ても普通の町娘。いや、なんというか変わってるっていうのが正しい。年の割りに落ち着いてるし、基本のんびりだ。









本当にあの総司に勝った女子なのか疑問に思えてきた。