―――それから数日






惠瑠は入隊を認められ自分を押してくれた芹沢に礼を言い、惠瑠の長い1日が終わった―――。


















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「惠瑠さーん」




長い廊下をのんびり歩きながら沖田は探している人物の名を呼ぶ。しかし周りはシーンと静まり返るだけ。

はあ、と1つため息を溢しその場に腰を降ろした。夏場だが日陰となっている廊下は少しだけ涼しい。




ふと周りを見れば屯所の庭にある木々の緑が目に映える。綺麗だなあと1人呟きながら手で風を扇ぐ。









しばらくぼんやり眺めていると、ドタドタと数人の廊下を走る音が遠くから聞こえてきた。








「沖田せんせー!惠瑠さん見つけました!今日は木陰で寝ていました!」




「今日は木陰ですか…」







どうやら新人の隊員たちが総力をあげ惠瑠を探しだしてくれたみたいだ。おかげで今回は早めに見つけられた。いつもは全く見つけられず日が暮れてしまうことも多々あった。





お昼寝が好きらしい惠瑠は見張っていないとすぐにふら〜っとどこかへ行っては寝てしまう為、幹部の面々はいつも大変なのだ。





こんな経験は新撰組では今まで一度もなく、逆に新鮮でそれを楽しんでいる者達もいた。


特に原田や永倉は今日は惠瑠が見つかるか見つからないかを賭事にしているようだ。それはそれで呆れたものだが…。









「ふー……、それでは私たちのお姫様をお迎えにあがると致しましょう。」







沖田はまたしてもゆっくりと体を動かした。