惠瑠は側に落ちていた竹刀をゆっくりと持ち上げ、不適な笑みを溢した。それを見た原田と永倉は冷や汗が止まらない。心臓が悪い意味でバクバクとしている。





「…あのね、私男と女の差別っていうの…?偏見がさ虫酸が走るくらい嫌いなんだよねー…」




「「………」」




「なんか…こうイライラするっていうか何ていうか…」




「「………」」



原田と永倉は嫌な予感がし、ごくりと唾を飲み込んだ。











「…殺してもいいですか…?」





「「すみませんでしたぁぁぁぁー!!!」」






惠瑠の不適な笑みの中の瞳は笑っておらず、寧ろ人を殺せそうな勢いがあった。慌てて2人はその場で土下座をし、もの凄い勢いで走って逃げて行った。






「ちっ、逃げ足早いな…」



惠瑠は軽く舌打ちをし、竹刀を放り投げた。周りに残っていた隊員たちはただその光景を呆然と見ており、ただ1人芹沢だけ大声で笑っていた。


また、面白いものが見れたと芹沢は上機嫌であった。






しかし、そんな心中を知らない惠瑠はその場に腰を下ろし、だらんと横になって大きく息を吐いた。



先程の試合を思い返し、まだまだだなぁと反省をしながら心地よい風を感じながら目を閉じた。














――大丈夫




――ここでならやっていける













ふっと笑みを溢した。