土方が道場を後にし、中の雰囲気は自然と緩み惠瑠も安堵の息を吐いた。やはり、少し緊張していたようだ。

手も汗ばんでいて、なぜか可笑しくて苦笑しながら服の隅で拭った。







「しっかしよぉ、ホント惠瑠を女にしとくのは勿体ねぇよなあ」



「ああ、確かに」




先程から惠瑠の様子を見て、自分たちでも少し逆らえない土方を怖がることなく、寧ろ立ち向かっていく惠瑠の心意気を感じ、しみじみと原田が言葉を溢し、それに永倉も深く頷いた。





「けど女子(おなご)だもんなあ…」



「女子ねぇ…」





しかし、男女平等問題には厳しい惠瑠に追い討ちをかけるように哀れみを含めた目を向ける2人。






そんな2人に惠瑠のなにかが切れた。









「……で………い」



「ん?」



「女で何が悪い…」



「……………え」






ゴゴゴゴゴッとまるで地響きのような音が聞こえてきて、惠瑠は俯きながら体が激しくふるふると震えていた。





明らかに地雷を踏んでしまった、そう思った原田と永倉はハッとしてだんだんと顔色が青くなっていく。これはヤバいと直感が働いた。

惠瑠にとって禁句だったらしい原田の発言は見事に琴線に触れた。






なんとかしようとする2人だが、更に怒りを表す惠瑠に顔が引き吊り、またどす黒いオーラが放たれていて命の危機すら感じた。






「え、惠瑠、おおおお落ち着けっ」



「落ち着いてますけど…?」



「いやっ!ぜってぇ落ち着いてねえだろ!」




明らかに怒りがヒートアップしていた。