「先輩、かっこいいし優しいから…人気なのも当然だよ」
「優しい…ね」
「!?」
突然ドアの方から聞こえてきた静かな声。由紀ちゃんのものじゃない、
この声は――
「あ、あれ??センパイ、帰ってたんですかぁ???」
由紀ちゃんがあせったようにその人物に話しかけた。
「あぁ、今帰ってきたとこ。二人はもう少ししたら戻ってくると思うよ」
私の背中に、冷や汗が垂れた。顔も燃えるように熱くなって―…きっと真っ赤になっているに違いない。
――きかれた。
キカレタ。キカレタ――…
同じ言葉が、頭の中をぐるぐるまわる。


