―春…

あたたかくて柔らかい一筋の光がさした。

一直線に伸びる光は私の気持ちをくすぐった。

「純夏ー♪」

「茉夏!おはよう」

私は今日から高校生。

青空の下の大きな並木道をゆっくりと歩く。

桜の花びらが時々散っていてなんかドラマみたい。

私が憧れていた世界。


「昨日はよく眠れた?」

「茉夏、全然寝られなかった!」

「私は結構早めに眠れたよ」

自分のことを“茉夏”と呼ぶ彼女は私の大親友。

茉夏とは小学生からの仲。

もっと言えば、常に一緒にいる。

高校に合格したときも2人で抱きしめあい涙して喜んだ。


茉夏は背が低く、美人で大人びいた顔立ちに、柔らかくくるんと巻かれた栗色の髪の女の子。
声もとても可愛らしい。

茉夏と話ながら歩く通学路は、私たちと同じ高校に向かう生徒がたくさんいる。

私は身体全体に風を感じて、ストレートに伸びた長い黒髪を手でなびかせた。

私のシャンプーの香りが風に包まれて流れていく。


「茉夏、超緊張してきた…」

「私もだいぶやばいよ〜…」