「はーい。今日の演技も完璧だったよ〜。」
来月から始まるドラマの撮影が終わった。
主演はもちろん私。
芸能界に入ってから八年、常にトップにいられるのは、パパとママのおかげ。
なぜなら、パパはハリウッド映画にも出るようなすっごい役者で、ママは子役時代から人気のある女優だから。
つまり、こねと遺伝ってところ。
だけど、こねだったのは最初のドラマ、小学校一年生の時だけだった。
後は、遺伝…と、パパやママを超した実力。
自分で実力があるって言うのも変だけど、私は芸能界にいるために全てを捨てた。
学校も満足に行けてない。
勉強も、友達もできない。
一般の人に見つからないように、普段は陰に隠れているような生活をする。
だけど、一度芸能人になったんだからこうなることは仕方がない。
だって、家を出てテレビ局に来たら、私は“超人気子役、城木玲奈”になるんだから。
芸能界で、誰より必要とされて、誰より輝いてる自分がいる。
そのために、“普通”を捨てるなんて構わない。
パパとママの子供で、こんな実力があるんだから、こう思うのは普通だよね?