「みーちーるっ!」
次の日の学校、ドカッと後ろから抱きついてきたのはクラスでも仲良しの祐介。
そして、
「‥痛い」
「んだよテンション低いなー。どうしたー?あ、俺の告白の返事考えてくれたー?」
告白してきた、張本人。
「‥‥」
「みちる?」
黙ったままの私に、祐介は怪訝そうに呼ぶ。
ぐいっと体を回転させられて、祐介と向き合う形になる。
「何か、あった?」
さっきまでのふざけた雰囲気を一掃させ、眉を寄せて尋ねる祐介に私はただ俯いていた。
「‥何もないよ」
「俺が告ったのと関係ある?」
‥何もないって言ってるのに。
「ちが‥」
「じゃあ、返事、聞いていい?」
ちらりと見上げると真剣な目が私を見下ろしていて、私はサッと視線を逸らした。
「みちる?」
「‥ごめん‥」
「どういう、ごめん?考えてないってこと?‥それとも、俺とは付き合えないってこと?」
搾り出した私の小さな声に、淡々とした祐介の声が続く。
『みちるが、好きだ』
昨日聞いた祐介の言葉を思い出す。
いつもふざけてばかりの祐介の真剣な告白にドキドキしたのは昨日のことなのに、もうずっと前のことのような気がする。
遼ちゃんと会った瞬間に、私の中はいつもすぐに遼ちゃんでいっぱいになるから。
その理由も、今の私はもう、知ってる。
「‥好きな人が、いるの」
俯いた視線の先で、祐介のこぶしがぎゅっと握り締められるのがわかった。

