この男、偽装カレシにつき

「なんだよ。
気を利かせて二人にしてやったのに」


気を利かせてって…。
二人っきりになったからって、そう簡単に何かあるワケじゃないの!
自分を基準にして物事を考えるな!!
大野センパイはアンタみたいなエロ男とは人種が違うの!!!


「もう、余計なことしないで下さいね!」


言ってやった!
一仕事終えた満足感に浸りながら額の汗を拭い、部屋から出ようと扉を開けようとしたとき。
なぜかノブが回らない。


「あれ?」


ガチャガチャ動かしていると、後ろで見ていた橘センパイが手を出す。


「扉も開けらんねーのかよ。
本当に使えねーヤツだな」


そして私に代わってセンパイもノブを回そうとするも、やっぱりうんともすんとも言わない。


「この扉まさか、錆びてんのか?」


何、この状況。
まさか、こんなトコにこんなヤツと閉じ込められちゃったの?