「何なんだよ」


橘センパイは眉間に皺を寄せて不機嫌そうに言うけど、そんなの気にしていられない。


これだけ離れれば大丈夫かな。
人通りのない廊下で私が再びポケットに手を入れたとき。
橘センパイの後ろから、今度は龍センパイがひょっこり現れた。


「何やってんだ、こんなトコで」


キャー!
龍センパイこそ、なんでこんなところに!
恐るべし、謎多きオトコ。
何にせよ、こんなもん龍センパイに見つかったら、末代までいじられる。


「何でもありませんったらー!」


こうなったら仕方ない。
とことん人が来ないトコへ行ってやる。


私は橘センパイの腕を掴んで、校舎の隅にあるほとんど使われていない資料室に駆け込んだ。