この男、偽装カレシにつき

私はすぐに龍センパイに視線を戻して、ブンブン首を振る。


こんなムチしかないヤツに教わるなんて無理です。
私アメがないと伸びないタイプなんで。


ていうか。
むしろ大野センパイが教えてくれないかなー、なんて期待しながらチラリと見ると。


「そうしなよ。
隼人、めちゃくちゃ頭いいから」


大野センパイがにっこり微笑み返してくれた。


相変わらずドストライクな癒し系だわ…じゃなくて。


えっ!
何それ、初耳!
橘センパイって頭イイの?


私が驚いて橘センパイを見ると、当の本人は知らん顔してる。
相変わらず憎たらしいヤツ。


「こいつんちエリート一家だし。
中学んときは家庭教師つけて、本当はK高にも受かってたんだよな?」


龍センパイが付け加えるように言った。


ちなみにK高ってのは、泣く子も黙るT大進学率トップの名門校。
つまり、ハンパなく頭いいってことだ。