いったー。
手に持ってた財布の中身まで散乱しちゃったじゃん。
誰だよ、もー。
私がムッとして顔を上げると、


「ごめん、気が付かなかった」


ぶつかってきた派手目のギャルが不機嫌そうに言った。
確か、隣のクラスの子だ。
目立つからこっちが一方的に知ってるだけだけど。


こんな見通しのいい廊下で気付かないなんてことあるか!
なんてツッコミを入れたかったケド。
私も純ちゃんとおしゃべりに夢中になってたし、お互い様か。


「ううん。
こっちも不注意だったから」


私がそう言って散らばった小銭を拾おうとしたとき。
ダンッ。
ギャルは私の財布を思いっきり踏ん付けた。