この男、偽装カレシにつき

ちょっと待って。
似たようなことが前もあったような…


すんごく嫌な予感がして目を開けると。
案の定、橘センパイは私を抱きしめながら爆睡していた。


やっぱりかーっっ!


これじゃ、風邪っぴきのセンパイを看病しに行ったときと全く同じじゃん。
我ながら学習能力低っっ!!


そりゃ。
あのときも今も、勝手にその気になった私が悪いケド。


この状況で、まさか本気で抱き枕にされるとは思わなかったわ。


溜め息をつく私の気も知らず、センパイはすやすやと寝息を立てる。


あのときコイツは確か。
私を抱きしめながら、雪乃さんの名前を呼んだのよね。


今、コイツが好きなのはどうやら間違いなく私みたいだケド。


もしまた、寝ぼけて別の女の名前を呼んだら、ひっぱたいてやるんだから。
なんて構えていると。


「チエ…」


センパイが小さな声をもらした。