そんなワケあるかー!


エッチなことなんてしてないもん。
ただケダモノに噛み付かれただけだもん!
勝手にキスマーク付けといて、何言ってんだー!


マズイ。
午後の授業が始まっちゃう。
しかもよりによって、遅刻に厳しいウチの担任だ。


私は慌てて束ねていた髪の毛を下ろして、首筋を隠す。
そしてセンパイの後を追おうと足を踏み出したとき、なぜか足が絡まって転びそうになった。


え…?
何コレ?
何で足が上手く立たないの?


こ、これってもしかして。


まさかとは思うケド、腰砕けってヤツ?
さっきのキスひとつで、腰砕けになったってこと?


ありえないありえないありえない!
これじゃあ、橘センパイの外見で騙されてる愚かな女子たちと同じじゃん!


私は非常階段で一人虚しく、がっくりとうなだれたのだった。