この男、偽装カレシにつき

センパイの胸が、今まで聞いたことないくらいドキドキしてる。


いつもは嫌味なくらいクールなのに。
こんな余裕のないセンパイ、初めてだ。


「…おいコラ、何か言え」


そ、そうだ。
『お前をくれ』って言われたんだった!


センパイは私の答えを待ってるのに。
抱きしめられて舞い上がっちゃって、うっかり返事するの忘れてた。


「わ、私で良かったらどうぞ」


私はセンパイにしがみつく。


ドキドキドキドキ。


もう逃げられない。
だけど、もう迷いもない。


だって。
ショジョを捧げる相手なんて、橘センパイ以外に考えられないから。