この男、偽装カレシにつき

「ななな何てことすんですかー!
首に噛み付くなんて、ケ、ケダモノーっっ!」


「ぁあ?」


私がケダモノ呼ばわりしたのが気に障ったようで、橘センパイはムッとしながら「じゃあ保健所でも呼んでみろよ」なんて怒ってる。


何なの、その逆ギレ。
怒りたいのはコッチだっつーの!


「つーか、抵抗しなかったクセしてゴチャゴチャうるせーぞ。
この俺がキスしてやったんだから、感謝しろよ」


チガーウ!
抵抗しなかったんじゃなくて、できなかったの!


私は恋愛初心者なんだって!
自慢じゃないケド(本当にな)、チューどころか手を繋いだこともないんだってば!


しかも何よ、その俺のキスは高く付く的な口振りは。
私にとっては橘センパイのキスなんて迷惑でしかないっての。
自意識過剰にも程があるんですケド!