この男、偽装カレシにつき

「捨てたクセに、いい度胸してんじゃねぇか」


「違いますって!
センパイがせっかくバイトまでしてくれたのに、捨てるわけ…」


私はそこまで言いかけて、ハッと口を押さえる。


しまった!
全部知ってるって、自白してしまった!!


お兄さんに聞かなかったことにしてって頼まれたのに。
なんてマヌケな私。


「…雅人のヤツ、余計なこと言いやがって」


センパイはバツの悪そうな顔で舌打ちすると、ゆっくりと私に目を向ける。


「…安物じゃないって分かったらそれかよ。
現金なヤツめ」


「違っ…」


返して欲しいのは高価な指輪だからじゃない。
センパイがくれたからだよ。