この男、偽装カレシにつき

「無理無理無理無理!」


恋愛初心者の私に、いきなりそんな上級編は無理ですって。


第一、私の読んでた健全な少女マンガにはキスマークなんて出て来なかったし!


「無理じゃねぇよ。
ちょっと黙れ」


そう言って橘センパイは私の肩に手を置いた。


センパイの視線が私の目を捕らえる。


突き飛ばしたいのに、カラダが痺れたように、動かない。


きれいなビー玉のような目に、吸い込まれそうになる。


うわ…。
これが、歩くエクスタシーの本領ってやつなの?