この男、偽装カレシにつき

「それって。
上手いこと言って部屋に誘った後、俺がチエちゃんに手を出すと思ってたってこと？」


マズイ。


橘センパイが余計なことを吹き込んだせいで、とんだ問題発言をかましてしまった。


「もももも、もちろん。
大野センパイがそんなことする人じゃないってことは、十分承知してるんですケド…」


あれもこれも全部、橘センパイのせいだ。
大野センパイと気まずくなったら、どうしてくれるのよ。


私が慌てて取り繕おうとしたとき、


「それって。
言い換えれば、少しは俺をそういう目で見てくれたってこと？」


大野センパイはそう言って、私を見つめた。