この男、偽装カレシにつき

扉から顔を出したのは、私のお母さんと同年代の上品な女性。


「いらっしゃい。
さっきは出迎えられなくてごめんなさいね」


なんて、センパイによく似た柔和な笑顔で言うその女性は、もしかして。
いや、もしかしなくてもセンパイのお母さんに違いない。


「俊介ったら、気が利かないから飲み物もまだだったでしょ」


大野センパイのお母さんは、コーヒーテーブルの上にコーヒーとお菓子を置くと、


「どうぞ、ごゆっくり」


そう言って笑顔で部屋を出て行った。