この男、偽装カレシにつき

「こんな面倒なヤツと別れたくらいで、どうして俺が未練なんか…!!」


すごい剣幕でまくし立てたかと思うと、橘センパイは突然口をつぐんだ。


言いかけて止めるなんて卑怯なヤツ、なんてムッとしていると。


「今の聞いた!?
橘センパイ、彼女と別れたって言わなかった?」


途端に周囲がざわめき出す。


「やっぱり!?」


「続くわけないと思ってたんだよね」


なんて声がちらちら聞こえてくると同時に、いつも以上に視線を感じる。


何よ。
この、私たちが別れるのを待ってましたと言わんばかりの熱い眼差しは。
余計なお世話だっつーの!