そのあと。
センパイと手を繋ぎながら、いつもよりだいぶ遠回りをして家に帰った。


大野センパイと一緒にいると安心する。


嫉妬でハラハラすることも。
自分が嫌になるくらいバカな行動だって、しなくて済む。


まさに理想の恋愛だわ。


「ギリギリセーフ」


家の門の前で、センパイは腕時計を見ながらそう言った。


もうすぐ午後6時。
今朝お父さんが独断と偏見で決めた門限の時間が迫ってる。


「こんな異常に早い門限を守るなんて。
センパイって律儀…」


「これ以上、チエちゃんのお父さんの心象を悪くしたくないからね」


ぼやく私に、センパイは苦笑しながら言った。