この男、偽装カレシにつき

くそぉっ!
センパイの器にも仕返ししてやる。


なんて思いながら、七味唐辛子の匙に手を伸ばそうとしたとき。


「安心しろ。
十人並みでも貰い手はいるから」


橘センパイはそう言いながら、卵のかかった部分を箸でひとすくいすると、ほらよ、と私の前に差し出した。


あ、卵だ。やったー!
パクリ。
つい条件反射で食いついた後、センパイがとんでもないセリフを口走ったことに気付いた。


…ていうか。
へっ?!
貰い手って…。


私の顔は一気にボボボッと赤く染まる。


そそそそ、それってつまり。
俺がお前を嫁に貰ってやる、ってこと??!!