この男、偽装カレシにつき

イヤ、待てよ。


寒がりのセンパイのことだから、私の手をカイロ代わりにしたとか、そんなトコかもしんない。


うん…。
自分で言ってて悲しいケド、超ありえる。


期待し過ぎるな、チエ!
今まで期待して、ロクなことがなかったのを思い出すのよ!!

そう自分に言い聞かせていると、センパイがこっちを見た。


ドキーンッ!
目が合っただけで、落ち着かない私。


そんな私の気も知らず、センパイは素っ気なく視線を外したかと思うと。


ポケットの中で、二人の指を絡めるように手を繋ぎ直した。


嘘っ…。
これって、本当の恋人繋ぎじゃん。


胸がドクンッと高鳴る。
顔が、体が熱くなる。
センパイの涼しい横顔から、目が逸らせない。