この男、偽装カレシにつき

「いってー!!」


橘センパイはその衝撃で、缶コーヒーを床に落とした。


中はほとんど空だったから被害はなかったみたいだケド。
頭から大量にかけてやっても良かったくらいだっつーの!


本っ当にこのオトコは!
あの恥ずかしい過去をさっそくバラそうとするなんて、油断も隙もありゃしない。


やっぱり、私と大野センパイをくっつける気なんてなかったんだ。
くそー。


橘センパイが長い足をさすりながら私を睨んでも、そんなの知ったこっちゃない。


全く、こんな妖怪なんかに話すんじゃなかったわ。