この男、偽装カレシにつき

オーイ!
黙って傍観するなー!!
とんだ恥かいちゃったじゃん!!!


「先に着いてたなら、声かけて下さいよ!」


慌ててキオスクの中に入って橘センパイの腕を掴むと、


「窓ガラスに向かってポーズ決めてる変な女と、知り合いだと思われたくナイ」


相変わらず小憎たらしい毒舌が私を待っていた。


くそぉっ。
せっかくのデートなのに、出鼻をくじかれてしまった。


「新しい服着てるからって、浮かれてんじゃねーよ」


え…?
何で私が上から下まで新しく買い揃えたこと知ってんの?
まさかエスパー??


眉を潜めた私に気付いて、センパイは私の衿元に手を伸ばすと、外すのをうっかり忘れてた値札を掴んでべっと舌を出した。