この男、偽装カレシにつき

「た、橘センパイって、どんな生徒だったんですか?」


コーヒーを一口飲みながら、気になってたことを聞いてみる。


「うーん…。
無口で反応は薄いのに、試験ではいい成績をとるタイプかな」


昔っから嫌味なオトコだこと。
手を焼かせるセンパイと、手を焼くアヤさんが目に浮かんで、思わずプッと吹き出したとき。


「だけど、ああ見えてすごく優しいの」


アヤさんが小さな声で付け足した。


あれ。
やっぱり私、変だ。
今のアヤさんの言葉に、また引っ掛かる。


先生と生徒として。
きっとアヤさんはその範疇で言ったのに、それ以上のニュアンスに聞こえてしまった。


ヤバいな。
昨日のキスで頭がやられちゃったのかもしんない。
私、確実に嫉妬深くなってる。