この男、偽装カレシにつき

とは言え、気まずい。
だって、密室に男女がいたら何かあって当然だと思ってるようなヤツと二人きりなのだから。


そういえば、さっきからセンパイがいる左側が、やけに寒気がするんですケド。
貞操の神サマ(そんなんいるか?)、どうか私のショジョをお守り下さい。


ハックション!
寒気のせいで、くしゃみまで出てきちゃったよ。
だいたい、この部屋寒過ぎない?
暖房ないのかな。
なんてキョロキョロ見回していると、橘センパイとバチッと目が合った。


その瞬間、私は慌てて顔を背けてしまう。


しまった!
思いっきり顔背けちゃったよ。
意識してるの絶対バレた!


橘センパイはそんなオロオロする私の手を突然引くと、とんでもないことを言い出した。


「寒いなら、温めてやろうか」


びっくりして体勢を崩した私が床に倒れ込むと。
呆気にとられてる間に、センパイに床に組み敷かれてしまった。