この男、偽装カレシにつき

この間、ちょっといいヤツだと思ったのに。
見直して損したー!


「早く出せ」


私は後ずさりながら顔面蒼白になる。
ヤバイヤバイヤバイヤバイ!
今日という今日は、犯されてしまう!!


さよなら、少女だった私。
恨むよ、神様…。


「だから!
ケータイ出せって」


「へっ?ケータイ?」


私は思わずマヌケな声を上げてしまった。


「俺のは教室に置いて来ちまったから、お前のしかねーんだよ。
早く電話で純ちゃんでも呼んでくれ」


何だ!ケータイね!
早く言ってよ!!
閉じ込められた影響でセンパイの頭がおかしくなったかと思って、死ぬほど動揺しちゃったじゃん!!


そういや人間にはケータイなんて文明の利器があったんだった!
慌て過ぎて忘れてたよ。
私はホッとしてポケットからケータイを取り出す。
そして画面を見て愕然とした。


圏外…?!
何じゃそら!
こんな都会のど真ん中で、そんなワケあるかー!