この男、偽装カレシにつき

「お前な…」


橘センパイは、ものすっっごく不機嫌な顔で私を振り返る。


何よ、その目!
確かに責任の一端はこんなトコに連れ込んだ私にあるけど、扉がこんなことになってるなんて知らなかったんだもん!


ていうか、そもそもアンタがあんなものを渡すから…。
ブツブツ文句を言っている私を、橘センパイは突然壁に押し付けた。


なななな、何っ?!
これが噂の壁ドン?!


ドキドキドキドキ。


センパイの顔、すっげー近いんですけど!
しかも、すっごい目ヂカラなんですけど!


「キャ…」


「黙れ。
叫んでも無駄だ」


図らずも密室に二人っきり。
こんな校舎の隅の使われてない資料室じゃ、叫んだところで誰も助けに来ないなんて、私だって分かってる。


「出せよ」


だだだだだ、出すって何を?
は、肌?!
まさかこの場で脱げってこと?


ただのエロ男だと思ってたけど、とんだ鬼畜ヤロウだったのねーっ!!