「…ふぅ、」
今日は何か疲れた。
きっと、琥珀の奴らのせいだな。
「これから…どうすっかなあ…」
まさか、また族に関わることになるとは思わなかった。
“こっち”にいると、それだけ情報が漏れやすくなる。
蝶華の奴らにも、バレるかもしれない。
…いや、アイツらのことだからすぐに気づくな。
そしたらきっと…ここまで来るんだろうけど。
───俺を、恨んでるだろうから。
だけどそれまでには…全てを終わらせる。
「…んじゃあ、行くか」
ウィッグを外し、服を着替えたあたしの今の姿は“夜の支配者”。
今から、繁華街へ行く。
「…お前、最近流行ってる“夜の支配者”だろ?」
後ろから声をかけられ、振り返ると、そこにはニヤニヤ笑っている男がいた。
一人…か?
「…それが何」
「ちょっとさー、俺と殺んね?」
……ああ、ただの馬鹿か。
こういう奴もたまにいる。
俺───夜の支配者は、自分から手を出すことはない。
……卑怯なことをしていない限りは。
しかし、たまにこういう風に喧嘩を吹っ掛けてくる奴もいる。
