外に出ると、真っ直ぐにどこかへ行った恭弥。
てっきり、車を呼ぶんだと思っていたんだが、恭弥が乗って来たものは。
「…え。それ乗るのか?」
「あ?そのつもりだけど…ダメか?」
そう言って、頭からヘルメットを外した恭弥。
うわ、様になるな…。じゃなくて!
恭弥の乗ってきたものは、黒に青いラインの入ったそれはそれは格好いいバイクだった。
「別に、嫌ではないけど」
むしろ好き、だし。
あー…そういや、暫く乗ってねえなあ。
何か、無性に乗りたくなってきたじゃねえか、クソっ。
因みに、俺もバイクは持っている。
黒のラメで、美しくも見えるし格好よくも見えるもの。
総長時代、よく乗ってた。
たしか、今は実家(九条組)にあるはず。
……今度、取りに行くか。
静かに心に決めた俺。
「ほら、ヘルメット」
「ん。さんきゅ」
恭弥からヘルメットを受け取り、バイクにヒラリと飛び乗る。…と。
「お前…バイク乗れんのか?」
「あ!?あー…まあ、な」
「ふぅん…」
イマイチ納得していないようすの恭弥だが、俺は無視して「ださないのか?」早く帰りたいアピールをしていた。
すると、動き出すバイク。
「ちゃんと掴まんねえと…落ちるぜ?」
「分かってるっつーの!」
ニヤッと笑いながら言う恭弥に、俺はキッと睨んで言いながら恭弥の腰に手を回した。
……何か、男が人の後ろに乗っけて貰うって、変だよな。
正直、かなり恥ずかしい、し。
