「んじゃー、俺はそろそろ帰るかな」
「送る」
俺と一緒に立ち上がった恭弥。
「別に送んなくていい」
俺、そんなヤワじゃねえし。
多分コイツにも勝てるだろう。
しかし、恭弥は引き下がらない。
そして結局、送られることになった。
まあ、送るって言っても、実家じゃなくて寮だからいいんだけどよ。
「またねー!」
「また明日な!」
「気をつけて、」
「変な奴に捕まんなよ」
それぞれに挨拶され、俺も「大丈夫だから。またな」返した。
たったそれだけのことが、何だか懐かしい。
そして、少し嬉しかった。
ああ、俺また来てもいいんだな、って思えるから。
俺って必要とされてるのかな、って思えるから。
俺が“ここにいる”って思えるから。
「行くぞ、優哉」
「おー」
恭弥と二人で倉庫を出た。
……やはり、下っ端達から注目を浴びる俺。
しかし、メガネをかけていないせいだろうか?
さっきとは反応が少し違った。
“だ、誰だ!?あの人”
“さっきのダサい人…イケメンなのか?”
“うわ、超カッケー!何、新しい仲間?”
さっきとは違う、様々な視線。
