「悪いな梨花」
「う、ううん。流石に何処を好きか聞かれた時は焦ったけどね!」
そう言ってふふっと笑った梨花。
「───…優が、男だったら…」
そんな呟きは、俺には聞こえなかった。
「んじゃ、切るぞ?」
「うん、あっ!今度遊ぼ?」
「…ん?まあ…いいけど、」
「やった!じゃあバイバイ!」
「おー」
そして、梨花との電話は切れた。
───さて、と。
「はーくがくん?」
「な、なんや」
俺は散々馬鹿にしてくれた白我にニヤリ、嫌ーな笑みを浮かべながら近づいた。
自然と出ちまうんだよなあ、この笑み。
白我は何か嫌な予感がしたのか、後ずさっている。
「あれー?何で逃げるのかなあ?」
「ひぃ!怖いって!何かキャラ違ない!?」
「え?何が?…散々馬鹿にしてくれたよなあ?白我くん」
「う…こ、怖いって!ぎゃあぁああ!」
───ドカッ
「…はあ。ったく…」
「痛い!何か痛いんやけど!?」
白我が騒いでいる理由は、俺が背中に飛び蹴りを食らわしたから。
勿論本気ではない。一割、くらいの力で。
「自業自得だ、バーカ」
「優哉…Sやったんやな…」
「え、何?もう一回食らいたいって?」
「ちゃうわっ!」
